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秋の大和屋料理

日本料理は、四季の風情を生かし目で楽しむ豊かな感性をご覧に入れる料理です。旬の食材を味わいながら、心細やかなおもてなしの手仕事が豊かに薫ります。四季の国の食文化の一端をご紹介いたしましょう。

紅染めの秋のお料理

前菜「菊かぼす」

菊見障子長箱

前菜「菊かぼす」

重陽の節句にちなんで、秋の代表的な花・菊を中心に、「丸十紅葉」「銀杏煎餅」など秋の風情を豊富に盛り込んだ前菜です。
松茸と三度豆の胡麻和えは菊に見立てたかぼすに盛り、「菊かぼす」に。
菊の花をイメージして丸く盛った海老の真ん中に菊の花を盛った「菊花海老」。
鯛の昆布締めを菊の花で和えた「割山椒かぼす」。
餅鮑、鯖の市松寿司、金箔裏白菊葉、菊鶉卵なども盛り込みました。

造り「鮪平造り 鱧皮霜」

魯山人作備前葉皿三種

造り「鮪平造り 鱧皮霜」

鮪は平造り。
鱧は骨切りした後、皮目に熱湯をかけ、柔らかくした後、身のほうにも熱湯をかけ氷水に落とす。
あしらいには、秋を感じさせる「もって菊」や「紅葉人参」などを添えます。

煮物椀「名残ぼたん鱧」

輪島塗秋草絵巻椀

煮物椀「名残ぼたん鱧」

秋口の脂の乗った鱧の美味しさと、秋の香り松茸を堪能していただける一品。
骨切りし適当な大きさに切った鱧は、包丁の切り込みまで丁寧に葛粉をまぶし、昆布だしに入れ、冷水に落とす。
吸い地は、縦に薄く切り分けた松茸をさっとくぐらせ、松茸の旨みを移しました。
椀にさっと茹でた菊の花・鱧・軸三つ葉・松茸を盛って吸い地をはり、梅肉を添えました。

焼物「焼き松茸」

焙烙

焼物「焼き松茸」

秋の味覚を焙烙で焼物に仕立てました。
焙烙の中央には炭を入れおき、松ヤニを少し入れて煙を出した落ち葉焼の雰囲気で秋の夜長を楽しみます。
焙烙に熱した那智黒の石を敷き、焼き松茸・塩入りした銀杏・塩焼き車海老・焼き蛤を松葉とともに盛り付けました。

焚合せ「落ち鮎干瓢巻」

魯山人作黄瀬戸片口

焚合せ「落ち鮎干瓢巻」

産卵のために下流に下る落ち鮎は、夏の鮎とは一味違った味わいがあります。
この子持ち鮎を干瓢でしっかり巻いて、八方だしでじっくり炊き上げます。
同じく八方だしで炊いた小芋と、色よく湯がき八方だしに浸して味を付けた三度豆を添えます。

焚出し「菊蕪三種」

厳島蒔絵煮物椀

焚出し「菊蕪三種」

近江蕪の皮を厚めにむき、細工包丁で三種類の菊の花びらの形に彫った、料理人の技が求められる一品です。
蕪の底には味付けをした鶏ミンチが詰まっています。器に蕪を盛り、蕪の煮汁に片栗でとろみをつけた餡をかけ、生姜の搾り汁を振ります。
添えてある菊菜は細かく刻み旨だしに入れ、卵白でとじ霜煮にしました。

画像の出典 : 柴田書店 『大和屋歳時』 より